Ages

2019

2月

日本橋三越本店《画業40年》千住博展

《ギター・ルネッサンス》のアルバムジャケットに作品を使わせて頂いている、世界的な巨匠・千住博画伯の《画業40年》オープニングパーティで、サプライズパフォーマンスを披露しました。

3月

《こどもしょくどう》岩波ホールにてロードショー、ほか全国順次ロードショー

4月

●渡辺香津美ジャズ回帰トリオ in 北京

2019年4月6日、7日と行われたブルーノート北京公演を本人からのメッセージとともにご報告。ジャズ回帰トリオ初の海外公演の模様をマストチェック!

桜吹雪の日本から柳絮*(りゅうじょ)の舞う北京へ。渡辺香津美ジャズ回帰トリオ公演レポート! (APL 11, 2019)
~本人メッセージとスタッフからのBoth Sides Now形式でお伝えします~


from Kazumi Watanabe,

さて今回は、ジャズ回帰トリオとして初めての北京見参。
これまで何度となく北京をはじめ上海、中国各地での公演はしているが、Blue Note Beigingというジャズの殿堂でのプレイともなると、気分も揚がってくる。北京のジャズ好きのオーディエンスには、僕のレパートリーからのベスト版的選曲を楽しんで貰うことにした。

おっと今回のメンバーを紹介しておかないと。ベースにはベテランの井上陽介、ドラムは若手のホープ山田玲。こいつ達となら思い切りイケる。このユニットでは超定番のImpressionsからMilestones、遠州つばめ返しにUnicorn。全10曲を90分のステージに投入した。ギターはHistoryのカズミシグネチャーTideWater1本で勝負。エフェクトボードは今回の為に数ヶ月前からプログラムを仕込んできたLine 6のHelix Floorboard。ギターアンプはクラブ機材の65 Twin Reverbだけど、このアンプならば眼をつぶっていても音が作れるほど熟知している上に、コンディションが素晴らしかったのもラッキーだった。

ステージが始まってしまえば、世界中どこにいても同じ演奏をする筈なんだが、客席からの熱いフィードバックに、思わずプレイも高揚してくる。弦よ、頼むから切れないでくれ(笑)。アンコールのHAVANAでは、日本でもあまりやらない《客ハモリ唄わせ》や《背中弾き》が思わず出てしまった程だ。クラブの設備はワールドクラスで、ケータリングも極上のフュージョン料理。法律で「演奏前の飲酒は禁止」とクギを刺されているが、自分はプレイ前は呑まない主義だから全く問題なし。帰国してあらためて、北京で演奏している時のあの目眩く感じは、オーディエンスの《新しい音に憧れる》気持ちが、客席からビシビシと伝わってきたからなのだと思った。なるべく早い機会に再び訪れて、中国のファンに、もっと様々な僕のギタースタイルを聴いて貰いたいと熱望している。

我很期待在下一場音樂會上見到你
渡辺香津美


from the inside, 

2019年4月6日、7日と渡辺香津美ジャズ回帰トリオによる初の海外公演が北京にて行われました。結成10年を迎える抜群のアンサンブルとインタープレイは北京のみなさまにどのように受け止められたでしょうか。
会場のブルーノート北京はオープン2年目、国際都市北京のジャズの拠点となるラインナップで連日熱演が繰り広げられている様子です。今回登場の「ジャズ回帰プロジェクト」は渡辺香津美が自身のルーツ、ジャズを新たに見つめ直すとともにジャズ・フュージョンのアイコンとも言える自らの代表曲を、旬なミュージシャンとともに繰り広げる人気のプロジェクト。日本でもジャズフェスを始め各地で聴衆を沸かせています。
両日ともモダンジャズの金字塔、ジョン・コルトレーンの名曲「Impressions」で演奏がスタート。次々に展開するアドリブはジャズになじみの無い方には決してわかり易いものではありませんが、トリオ渾身の即興に敏感に反応するオーディエンス。演奏も徐々に熱を帯びます。

初日の「Child is Born」、 二日めの「Four on Six」などスタンダードを挟んでマイルス・デイビスの演奏で有名な「Footprints」。今回は16ビート、ファンキーなアレンジに会場が沸きます。続く谷川公子作曲の美しいジャズワルツのバラード「MOMO」にもうっとりする女性オーディエンス多数。曲が終わると各テーブルで乾杯が続くのは中国流でしょうか。またお客様に若いカップルが多いのも印象的です。
続く「遠州ツバメ返し」「ユニコーン」の80年代フュージョンシーンを代表する渡辺香津美オリジナル曲では、独創的な構成とアクロバティックなソロに笑いと拍手が起こり客席も最高潮に。さらに二日めは伝説のKYLYN(キリン:坂本龍一、村上ポンタ秀一、矢野顕子らと結成したバンド)アレンジの「Milestones」が大歓声を呼び起こします。
この後セットリストには無かったサプライズで中国の伝統曲「茉莉花(ジャスミン)」をループを駆使したギターソロで披露すると会場からはため息とさざなみのような声が。

本編最後の「Manhattan Flu Dance」を経てアンコールの「HAVANA」では客席とのコール&レスポンス。短いフレーズを歌っていただく趣向に、積極的なオーディエンスは最初のフレーズから大合唱!心から楽しんでくださっているのが伝わります。初めての中国公演で「ありがとう!」の日本語も客席から聞こえるフィナーレは感動的でした。
終演後のサイン会では持参したCDがソールドアウトの大盛況。往年のLP盤を持参のファンの方や、香港で手に入れたという「ギター・ルネッサンス」オリジナル盤を持参の方、「ブルーズ演ってます」というギター弾きの方の楽器にサインするひと幕など、これは世界共通の風景です。
新鮮だったのはサイン会で「私の日本名は****です」という日本カルチャーファンの方が複数いらしたこと。国籍、血縁など無関係にアニメやコミックのキャラクターから取った名前、ということのようです。文化は軽々と国境を超え、交流を生み、良い音楽もまた必ず伝わる、ということを実感した今回の北京公演でした。
短い時間でしたが北京のみなさまと最高の時間を共有し、ここ中国でもジャズを楽しむ文化は確実に根付きつつあると感じます。
また次回訪れる機会を楽しみに、その日を心待ちにしています。

▼渡辺香津美ジャズ回帰トリオ
渡辺香津美 Kazumi Watanabe (g)
井上陽介 Yosuke Inoue (b) 
山田玲 Akira Yamada (ds)  

Blue Note Beijing:
http://www.bluenotebeijing.com/ticketdetail/06b8a4d9-7aa9-455e-ab55-88f81c7a8a32

柳絮(りゅうじょ):綿毛を持ったやなぎの種子が綿のように飛び散る北京の春の風物詩。